選手時代に多くのコーチの指導を受けました。
海外での転戦中には
会場への移動途中に練習のために指導を受けたいコーチのいるテニスクラブなどの施設に立ち寄りそこで練習を手配します。
アメリカのサウスカロライナ州のテニスセンターでとても印象的なコーチに指導を受けました。
とても人気のトップコーチでしたので、練習もハードな内容になるだろうと思い気合いをいれて望みました。
ほとんどのコーチは厳しい口調でハードな内容で転戦中のゲーム内容などを想定して練習を積極的に進めていきます。
しかし、その日のコーチはとてもとてもソフトな口調でゆっくりしたペースで内容を説明し始めました。
日頃の練習のイメージがあるので少し戸惑いました。
しかも数分だけストロークを打った後に、唐突に『シングルハンドでバックハンドストロークを打ってごらん』と言い出しました。
確かに、その頃はバックハンドストロークに違和感がありましたがいきなり根本的に変更をしてみる内容にびっくりです。
そのあとは、
ひたすらそのコーチは褒めまくりと言うほど、私のプレーを褒めてくれます。
しかも、今さっきから初めてシングルハンドのバックハンドストロークでプレーする私を褒めまくりです。
いつの間にか違和感なくシングルハンドでプレーしていました。
ステップワークがとても楽にできてボールとのポジションの取り方や、準備など・・・
初めての打ち方ですので、頭をフル回転しながら動きの一つひとつを集中して考えてトライしています。
いつの間にか動きも良くなりショットまで良くなっています。
しかも・・・コーチは私のプレーを褒めまくり!
気分爽快になってました。
練習の終盤にコーチが、
『最高だよ。動きも気持も集中力も全てが最高だよ』と言ってきました。
完全に私は俗に言う『ノリノリ』です。
最後にコーチから、
『シングルハンドは最高だよ!では、残りの少しの時間はいつものダブルハンドでトライしてみようか!』の言葉。
結果、とても驚きのショットや動きが簡単にできます。
ここでダメ押しのコーチからの褒めまくりです。
練習が終わってみて・・・・・
一度も特別に何も指摘を受けませんでした。
『ここをそうしろ! そこはこうしろ!』という言葉は一切なし。
ひたすら褒める。
しかし、
私自身の中では、ものすごくいろいろなことをチャレンジして新しいことを指摘されて必死にそれをマスターしようと集中していたかのようにプレーしていました。
しかしコーチからの指摘や動きや打ち方のアドバイスは一切なし。
そのあとの試合では自分自身でも納得のいくプレーができました。もちろんダブルハンドです。
その後、私自身が指導者になってから、
このときの体験を振り返ってジュニア選手に同じような練習をすることがあります。
ジュニア選手の場合は特にその効果が著しく出ることがあります。
その当時のコーチにもう一度お会いして、いろいろ聞いてみたくなるような素晴らしい体験でした。
『根性!努力!』
という言葉で少年時代に育ってきた私には衝撃的な体験だったのでしょうか。